《MUMEI》

雑誌を適当に購入し、出口へ向かう。
自動ドアの近くに水瀬が立っていた。

「帰ろう、どっち家?」
ま、待っててくれた?


「いや、送るよ」
是非送らせて下さいまし!


日が沈みかかってきた。
水瀬との会話も半分は上の空になる。

「木下君聞いてる?」
ヤベ、バレバレか。


「ごめん水瀬!ぼーっとしていた。」


「私の話つまんない?」


「そんな!つまらないなんて!
ごめん、俺が水瀬ばっかり見てたから悪いんだ。
ごめん………ごめん!」
嫌いにならないで!


「私のこといつから見てたの?席が前になったときから?」


「えと、一年の冬季講習」


「じゃあ、私の先輩だ」



     「え」

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