《MUMEI》

「倉木〜!!」


「こら賢史!

呼び捨てすんな!!」


倉木さんはそう言いながらも、
俺の頭をガシガシと掻き回した。


倉木さんの目は嬉しそうに輝いていた。


これから第1回戦が始まるのだ。


多分俺も先輩と同じ目をしていたと思う。


興奮して、胸の高鳴りが収まりそうにない。


相手は地区で名の知れた強豪チーム。


だけど負ける気はしなかった。


倉木さんと一緒に戦える。


それが何よりの心の支えだった。


審判の、試合開始のコールがなり、ボールが動き出した。

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