《MUMEI》 ゴクッ それと同時、何処からともなく、息を飲む音が聞こえた。 「……っなんなんだよっ!お前らはさっきからっ!!」 思わず怒鳴ってしまった。 「わ……わりぃ……えっとい……伊山?」 宇佐美は、おどおどし始めて、俺の様子を窺ってる。 「ごめん……あの……伊山くん……痛かったよね……」 一宮までおどおどし始めて、妙な雰囲気になってしまった。 「ま、まぁ三人とも……」 なんとか俺を宥めようと、錦が口を挟んだ。 ムスッとそっぽを向いた俺を気まずそうに宇佐美たちは見て、顔を見あわせた。 それと同時に、授業開始のチャイムが鳴って、一宮以外は各々の教室へと帰っていった。 結局、アイツらの関係性は分からず仕舞いだった。 特にこの、陽和と和月の関係性は。 ただ、この出会いが、俺の運命を変えてしまう事を、この時の俺はまだ、微塵も思っていなかった。 そうこうしている間に教室に小笠原が入ってくる。 「あら?みんなどうしたの?今日はえらく静かね。」 不思議そうな顔をして、算数の教科書を開く。 「あのさ。さっきは本当、ごめんね。」 申し訳なさそうな声が隣から聞こえた。 前へ |次へ |
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