《MUMEI》
読書と眼鏡の秋
九月


文化祭が無くなったかわりに、読書週間が出来た。


期間中は、朝のSHRが読書の時間となる為


俺達は今、学校の図書室に来ていた。


(それは、いいけど…)


「何で眼鏡?」


志貴は、普段かけない眼鏡を何故かかけていた。


「似合わない?」

「いや」


(どっちかといえば似合うけど…)


「志貴、視力下がったのか?」

「ううん。両目2.0」


(俺よりいいじゃないか)


ちなみに、俺の視力は両目1.5だった。


「それで、何で眼鏡?」

「ん? おばあちゃん命令」

「…何で?」

「『大志だけ眼鏡じゃ可哀想だから』って、支給されたの。さすがにいつもは無理だけど、放課後とかならありかと思ってかけてみた」


(そういえば、かけてたな、眼鏡)


夏休み、別荘で会った時


確かに、大志さんは老眼鏡をかけていた。


老眼鏡ということもあり、本人はかなり照れていた。


(それにしても、これはやり過ぎだろ)


後から来た頼と厳


それに、エイミーと石川まで眼鏡をかけていたのを見た時は


さすがに、苦笑するしか無かった。

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