《MUMEI》 ハマる本(何か変な感じだな) 眼鏡軍団に囲まれ、俺は少し戸惑っていた。 「志貴、この続きは?」 「まだ出てない」 「こっちは?」 「そっちも」 「「そっか〜」」 志貴と頼と厳は、共通の話題で盛り上がっていた。 「ねぇねぇ、誰が好き?」 「んーとね」 俺と同じように夏休み別荘に呼ばれたエイミーと石川は、すぐに仲良くなっていた。 宣言通り、厳と石川は、二学期から堂々と付き合っていたが 松本は、多少石川と距離ができたものの、落ち着いていた。 (さて、俺は何を読むかな) 読書にあまり縁のない俺は、オススメを周りに訊く事にした。 すると 驚く事に、眼鏡軍団全員が同じ作者の作品を読んでいて 俺にも、それをすすめてきた。 (ファンタジーって初めてだな) そう思いながら、俺は、読書週間中、『太陽の戦記』という作品を読んでいた。 そして 読書週間が終わっても読み続けたり、読み返したり 挙げ句の果てには購入するほど、ハマった。 そんな俺を見て、周りが密かにガッツポーズしていた事に 俺は全く気付いていなかった。 前へ |次へ |
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