《MUMEI》
墓参り
九月の終わり


『十月、キヨさんの墓参りに来れる?』


そう、葉月さんからメールが来た。


(十月は三連休あるし…時間は空いてるけど、チケット、今から取れれば)


『できれば行きたいです』

俺は、そう返信した。


その数日後


『じゃあ、これ使っておいで』


そんなメモと一緒に、北海道までの往復航空券が速達で送られてきた。


そして、十月三連休初日。


(結構寒いな)


俺は、一人で北海道にやってきた。


「やぁ、久しぶり」

「お久しぶりです」


空港には、葉月さんが迎えにきてくれた。


「美緒は、夜に帰国するからね」


春日さんの死後


しばらく北海道から動かなかった二人だが


美緒さんは、先月から通常通りの仕事を再開した。


一方の葉月さんは


時々東京で仕事をするようにはなったが


基本、北海道から出ない生活を送っていた。


(そういえば)


「葛西先輩、元気ですか?」


葉月さんの弟子になった葛西先輩は、今日は葉月さんと一緒にいなかった。


「元気だよ。今日は休みで、彼氏とデートしてる」


笑いながら話す葉月さんの運転する車は、春日さんの墓地へと向かっていた

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