《MUMEI》

「ユキヒロさんッ!!」


椎名がユキヒロを呼ぶ。


ユキヒロはボールを椎名へ。


そのままユキヒロも走り、


2人のランパス。


2人から離れていた左サイド。


密集地帯にいたエース45とポスト。


下の位置にいた為に走りだすのが遅れた右サイド。


ユキヒロと椎名のランパスに対応できたのはセンターと右45だけであった。


「戻れ!!」


遅れながらも必死に戻る北農。


しかしそれでも、


ユキヒロと椎名には追い付けない。


(くそ…!!)










「ナイッシューだッ!!」









ベンチからクロの声が飛ぶ。


ユキヒロのシュートが決まり、


4対1。


「ナイスだユキヒロ!!
ガンガン決めてこい!!」


「!」


(クロさん…)








「まだまだこっからだぞ!!


ペース緩めんな!!


いい流れ来てる!!


このまま勝ちに行くぞ!!」










クロが必死に声を出す姿は、


ベンチの選手たちにも、


コートに立つ選手たちの心にも響いた。











「おぅ!!」


「しゃ〜!!
絶対勝つぞ!!」


「おぅ!!」









暑い暑い夏の日。


迫る高総体に向けて行われている小さな小さな大会。


快晴の空の色は青く、


とても綺麗だった。


その空の下では、


夏の暑さなど感じさせないほど、


熱い熱い高校生たちがいた。

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