《MUMEI》

那加の気が済むまで、俺は病室を出たり入ったりを繰り返していた。





「──‥姫サマ‥あの‥‥‥もう‥宜しいでしょうか‥」

「取りあえずね」

「取りあえず‥‥‥」





でも‥良かった。





「あーっ!!」

「ぇ!?」

「アイス溶けちゃうっ」

「──ぁ‥」





そういえば‥。





「早くたべなきゃっ。──ほら日向っ、早く出して出してっ」





もう、すっかりアイスの事で頭がいっぱいらしい那加。






「早くってばぁ」

「ハイ、畏まりました──」

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