《MUMEI》
金髪美形
「大さん並だなぁ…」


俺の隣にいた祐が、ポツリと呟いた。


「あっちの方が男らしいけどな」


老若男女、魅了する美貌と雰囲気は、似ていると思った。


(金髪美形と高遠光を足して二で割った感じが大さんだよな)





(それってつまり大さんは芸能人以上で

最強の美形って事か?)


そんな事を考えていた俺は


ブーツを履いてもまだ俺達より小柄な美緒さんが、『見えない』と不機嫌になっていた事になかなか気付かなかった。


「金髪の知り合いいます?」

「見えないからわからない」

「何か、待ち合わせっぽいですよ」


金髪美形は、ナンパを断りながら、時計を時々見ていた。


「一応、携帯かけてみる」


美緒さんは携帯を取り出し、耳にあてた。


すると


金髪美形も携帯を取り出した。


「あの、遠藤美緒ですけど…あ、そうなんですか」


相手の声は聞こえないが


(うわ…)


人だかりが左右に割れ、道が出来た。


金髪美形は携帯を耳にあてたまま、笑顔で手を振り


こちらに


優雅に歩いてきた。


そして、美緒さんの目の前で止まった。

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