《MUMEI》
色気と寒気
「ところでこっちの二人は?」


小暮さんが、早速敬語無しで美緒さんに質問してきた。


「雅樹の知り合い」

「…へぇ…」


小暮さんは、何故か祐に近づいた。


「…何ですか?」


祐は、美形に慣れていた。





「かっこいいね」


小暮さんの一言と、笑顔に


「あ、りがとうございます」


顔を赤くし


『ちょっとクラクラした』と、俺に囁いた。


(そんなにか?)


首を傾げていると


「君は綺麗だね」


小暮さんは、今度は俺に話しかけてきた。


「どうも」


俺は、笑顔で返した。


「…真面目に芸能界目指せば?」

「興味無いです」

「そっか。…あれ? 目、青…」


小暮さんはそう言って、俺の顔を覗き込んだ。


その瞬間


ゾクゾクゾク!!


(こ、この寒気は!)


俺は、慌てて小暮さんから離れた。


「ごめん。嫌だった?」

「そういうわけじゃ…」


ゾクッ!


俺の背中に走る寒気


それは、小暮さんの色気によるものではなく


俺の背中に突き刺さる


普段、拓磨からよく感じる


嫉妬の視線を数倍にもしたものだった。

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