《MUMEI》 . −−−9月。 新学期を迎えた学校は、なにかと忙しい。 わたしは、たくさんの女子生徒でごった返す、校門をくぐった。 わたしが、一歩、歩く度に、 みんなが次々に、振り返る。 その、ほぼ全員が、わたしのことを、つま先から頭のてっぺんまでなめるように見つめて、恍惚とした表情を浮かべるのだった。 熱い視線を向ける彼女たちから逃れるように、わたしは顔を俯かせた。 見つめられるのは、すきじゃない。 心の内側まで、見透かされてしまうような気がするから。 わたしの内面にある、黒い思い出を、 暴かれてしまうような、 そんないたたまれない思いを抱きながら、わたしは足早に校舎へ向かった。 ◆◆◆◆◆ 上履きに履き変えると、わたしはすぐに職員室へ向かう。今日は、そういう手筈だと、両親から言われていた。 近代的でキレイな校舎の中を進み、職員室へたどり着く。 その間も、たくさんの女子生徒とすれ違い、不躾な視線を向けられた。 なんとも言えない居心地の悪さを感じながら、わたしは職員室のドアをノックして、中へ入った。 . 前へ |次へ |
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