《MUMEI》

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職員室は、雑然としていた。

たくさんのデスク。たくさんの資料。
そして、たくさんの教師たち。

前に通っていた学校と、同じような造りに、戸惑いと安堵が入り乱れる。

ドアの前で少しぼんやりしていると、わたしの姿に気づいた女の先生がやって来た。

彼女も他の女子生徒達と同じように、わたしの全身を眺め見て、感心するように少し目を見張ったあと、それを振り払うみたいに、笑顔を浮かべた。


「おはようございます。なにか用かしら?」


朗らかな声で尋ねてきた彼女に、わたしは顔を強張らせ、答えた。


「今日から、この学校の生徒になる、中塚 寧々と申します」


それだけ言うと、彼女は理解したようで、ああ…と曖昧に頷いた。


「転校生ね。話は聞いてます」


その台詞に、わたしは眉をひそめた。

彼女は、だれから、どこまで、わたしの話を聞いているのか、と不信感が胸を渦巻く。

不安になるわたしに気づかず、彼女はニッコリほほ笑み、それから言った。





「ようこそ、高松塚高校へ」





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