《MUMEI》
ストレス発散
(あれ、でも)


「何で葉月さんじゃなくて、葛西先輩なんだ?」


葛西先輩の腕がいいのは認めるが


その師匠の葉月さんの方が、腕も知名度も上だった。


「わかんないの?」


高遠光は馬鹿にしたように笑った。


(さすがにここまで露骨だと、ムカつくな)


「高遠光と小暮さんがバカップルなのはわかるけどな」


ほんの、仕返しのつもりだった。


…なのに。


車内が、無言になった。


「祐也。…根拠は?」

「見ればわかる。バカップルオーラ出てるから」

「オーラって…」


呆れる祐を見て、俺は思わず言ってしまった。


「葉月さんと美緒さん、祐と葛西先輩、柊と希先輩、それから頼とエイミー、それに…」

「ストップ祐也!」

「とにかく、それらのバカップルオーラと同じ感じがするし

高遠光は拓磨以上に嫉妬も独占欲も高いみたいだし

小暮さんは意外とヤキモチ焼きだし」


(スッキリした)


言いたい事を全部吐き出した俺は、後部座席に思いきりよりかかった。


「で、葉月さんじゃなくて葛西先輩を選んだ理由は?」


そして、改めて笑顔で質問した。

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