《MUMEI》
仕事モードの美緒さん
「今回は、年齢制限があったの」


答えてくれたのは美緒さんだった。


(さっきから思ってたけど)


美緒さんは、仕事の説明は簡潔にできるようだ。


「十代限定って事ですか?」

「正確には、十五〜十九歳の、カメラマン又はそのアシスタントね。

出世のチャンスだから、かなり応募あったらしいわよ。

雅樹君は遠慮して出さなかったけど、葉月が勝手に応募したの。

今頃びっくりしてると思うわ」


美緒さんのわかりやすい説明が終わると、車は今は春日から遠藤に変わった表札の家の駐車場へ


つまり、元の位置へ入った。


「何で美緒さん冷静なん…だ?」


美緒さんの隣の小暮さんが、ようやく口を開いた。


「私は普段物言わぬ自然を相手にしてるのよ?

人間関係なんか初対面でバッチリ把握できるに決まってるじゃない」

「え…」


その言葉に俺が一番動揺したが


「あ、田中君は例外だから」


そう言われて


(何か、複雑だな)


ホッとしながらも、微妙な気持ちになった。


「さ、これからが本番よ!」


美緒さんはかなり疲れた様子の小暮さんと高遠光を見て、笑った。

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