《MUMEI》
ドキドキの自己紹介
.

先生はわたしの方へ身体を向け、にこやかに言った。


「ここが、あなたのクラスよ」


言い切ると、彼女はドアを軽快にノックし、躊躇いなくそれを引いた。

わたしを廊下に残したまま、まずは先生だけが中に入り、なにかを言っていた。おそらくは、このクラスの担任に転校生を連れてきたとか、そういった取り次ぎだろう。

すぐに先生は廊下へ戻って来ると、わたしを呼んだ。


「お待たせ。どうぞ、中へ入って」


わたしは会釈をして、彼女の脇をすり抜けると、こわごわ教室へと入った。





◆◆◆◆◆◆





−−−そこに立っているのが、やっとだった。



わたしは教壇の横で、顔を俯かせていた。

クラス中の女子生徒達が、わたしの姿を一心に見つめては、なにやら囁きあっていた。

胸の中が、いたたまれない気持ちに支配されていると、担任の、これまた女の先生が、はっきりと大きな声で、生徒達に言った。


「はい、静かにして。転校生を紹介します」


そこまで言って、彼女はわたしに自己紹介をするよう、声をかける。

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