《MUMEI》

──それから暫く木陰にいて、俺達は話したりしていた。





「蝉鳴いてるね──」





那加が呟いて、ちょっとだけ俺の方に凭れかかってきた。





「日向──また背ぇ伸びた?」

「ぇ」

「小学生の頃はまだそんなに離れてなかったのにね──」





──懐かしそうな顔。





「ていうか、何でそんなに伸びる訳?」

「何で、と‥言われましても‥」





こればっかりは、分からない。





けど、那加だってちゃんと伸びていると思う。

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