《MUMEI》
真実
…思い出した。
あり得ないとは思うけど、あの時の女は確かに…



「……あの時の女は、柊、だった…」

「…そう、私よ。やっと思い出してくれたのね」

「で、でも、どうしてだ?あの時は高校生だったよな?制服着てたし、間違いないはずだ!!たとえ1年だったとしても、あれから3年経ってるんだ!なのに、どうして今高校に?」



そうだ。
彼女はあの時、確かに制服を着ていた。今高校生なんて、あり得ない。…いや、留年したのか?あぁ、分からない。

頭を悩ませる俺に対して、柊はただ頬笑みを浮かべるだけだった。




「そ、それに、何で俺達が復讐されなきゃいけないんだ?確かにあの時、俺達はお前に何もしてやれなったけど、復讐なんて…。それに、智のは交通事故だし椋の時は俺が傍にいたんだ。お前がどうやって二人を殺せるんだよ!!!」




俺の口からは疑問しか出てこない。疑ってはいたが、実際に認められると不可能だと思えてくる。本当に柊が殺したのか?だって、智も椋も、人が殺すのは無理な状況だったんだ…。

さんざん疑問を投げかけた俺を見つめながら
、柊は口を開いた。




「…殺害方法なんて簡単よ。高岡君の時は、私が車のハンドルを操作したのよ。だから運転手、言ってたでしょ?'ハンドルが勝手に動いた'って。あれは本当のことだった。そして剣持君の時は、私の髪で直接絞め殺したのよ」

「ハンドルを操作?直接絞め殺す?」




柊の発言に、俺はただ呆然と立ち尽くした。

こいつは何を、言ってるんだ?
そんなこと、出来るわけがないだろ?

絶対に、有り得ねぇ。






「…理解できないみたいね。でもね、幽霊ならハンドルを操作することも、誰にも気付かれないことも可能なのよ」

「え……?幽…霊…?」




耳を疑った。今、確かに幽霊という言葉が聞こえた。じゃあ、柊は…




「そう、幽霊。あの晩、私はあんた達がいなくなった後、殺されたのよ!」

「なっ…!?」







嘘、だろ…?

柊が死んでいたなんて…。





殺されていたなんて……

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