《MUMEI》
打ち合わせ
ぐったり顔の小暮さんと高遠光も、葛西先輩と葉月さんを前にすると、表情が変わった。


(仕事モード、…だな)


自己紹介を交わす四人の間には、緊張感が漂っていた。


「邪魔しないなら、いてもいいわよ」

「いや、俺は」


(別に、どうでもいい)


それよりも、忍に報告メールをして


さっさと寝たかった。


しかし


「こんな機会滅多に無いからいようぜ!」


見かけによらず握力だけはある祐に掴まれ、俺はその場にとどまる事になった。


「俺と美緒は、いるだけだから」

「…とりあえず、いくつか考えてみたんで、意見を聞かせて下さい」


葛西先輩は、小暮さんと高遠光の前に、走書きのメモ用紙を並べた。


「意見て、やりたい事?できない事?」

「本人からはやりたい事を、マネージャーさんからは事務所的にできない事を聞きたいです」

「結構光は無茶してきたからなぁ…」


小暮さんは、遠い目をして呟きながら、確認した。


「一回やった事でもいい?」


高遠光は、楽しそうだった。


(いろいろあるなあ…)


ちらっと見たが、体を張るシチュエーションがかなり多かった。

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