《MUMEI》 . その眩しい笑顔に戸惑いながら、よろしく…と小さな声で返した。巴は嬉しそうにつづける。 「わからないことがあったら、なんでも聞いて。学校も、案内するから」 彼女の親切な申し出に、わたしは感謝して、ありがとうと笑顔を見せた。 すると、近くに座っていた女の子がわたし達のやり取りを耳にして、ズルイ!!と騒ぎ出した。 「巴!!抜け駆けは許さないわよッ!お姉様を、独り占めしないで!」 その声を引き金にして、巴はクラス中からブーイングを受けた。 訳がわからず、わたしがオロオロしていると、巴はフン!と鼻を鳴らし、高らかに言い放つ。 「隣の席の特権でしょ!外野は黙っててよ」 そう言ってなぜか勝ち誇ったように、高笑いをするのだ。クラスメイト達は悔しげに巴を睨み、ブツブツと文句を口にしていた。 わたしは彼女達の言動に怯えながら、クラスを見回すと、 小田桐さんだけが、我関せずといったふうに、クラスメイト達と一緒に騒いだりせず、ただ、ぼんやりと窓の外を眺めていた。 わたしは、そんな小田桐さんのことが、少し気になりながらも、隣で騒ぐ巴をたしなめることに必死になっていた。 . 前へ |次へ |
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