《MUMEI》
キンモクセイの香り
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帰りの時間になると、わたしの疲れも最高潮に達しようとしていた。





−−−学校の中庭。




キンモクセイの甘い香りが立ち込めるこの場所で、わたしはひとりきりで、ベンチに腰掛けて、ようやく安堵のため息をついた。


そうして、今日は、なんだか災難だらけだ、とひとりごちる。





あのあと教室では、事あるごとに、クラスメイト達からの質問の嵐。しかもその内容も、わたしには理解出来ないようなことばかりだった。


−−−例えば、


すきな食べ物はなんであるのか、とか。

すきなタイプ(女の子)はどんなひとか、とか。

どんなところで買い物をするのだ、とか。


そんな感じ。


わたしは彼女達の勢いに戸惑うだけで、うまい言い逃れが出来ずに、それらの質問に対して、真面目に答えていたから、すっかり疲弊してしまったのだ。



今日は始業式だけで、午後は授業がない。



だからなのか、帰りのショートホームルームが終わったとき、巴がこれから学校を案内すると、張り切っていた。

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