《MUMEI》 . わたしが首を傾げると、彼女は面倒臭そうにため息をついた。 「『高松塚大学付属 男子高校』だよ。ここって、一応、共学じゃん」 そう呟いて、彼女は再び男子校を見遣る。その目はどこか冷え切っていた。 そこまで聞いて、わたしは思い出した。 この学校が、女子校と男子校で、わざわざ別棟を建てて区別しているということを。 「そういえば男子と女子で、校舎が別々なんだっけ…」 わたしの独り言に、巴は、当然よ!と鼻息を荒くした。 「野蛮な男どもと同じ空気なんか、絶・対、吸いたくないもの!男子校とは、ほとんど関わることがないから、その点は安心だけどね!」 彼女の気迫に押されながらも、そっかぁ…とわたしは曖昧に頷き、 それから、そんなことより、と思い直した。 わたしはまた、ねぇ…と巴に声をかけた。 「…わたし達、どうして、こんな状態になってるのかな?」 わたしの問い掛けに、巴は首を傾げた。 「こんな状態って?」 あっけらかんと尋ね返す巴に、だから…と呟きながら、恐る恐る周りを見回して、言った。 「なんで、みんなも一緒なの?」 巴は始終わたしにピッタリと寄り添っていて、しかも、その周りを取り囲むように、クラスの女の子達が取り巻いている。 まったく歩きづらいこと、この上ない。 . 前へ |次へ |
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