《MUMEI》 . 教室を出るとき、巴がわたしを案内すると言ったことを聞きつけて、みんな、我も我も!とついて来てしまったのだ。 −−−ただひとり、 あの、《小田桐 美濃》さんを除いて。 「ちょっと、巴!お姉様から離れなさいよッ!!」 「そうよ、図々しいったらないわ!」 周りの女の子達は、巴に対して一斉に文句を言った。 わたしはうんざりする。 ………てか、 お姉様って、ただのクラスメイトなのに。 当の巴は、みんなを睨みつけると、うるさいッ!と野次を一蹴した。 「悔しかったら、あんた達もくっついてみなさいよ!」 きわめつけに、馬鹿にするように舌をチョロッと出した。 それが、女の子達の闘争心に火を付けてしまったらしい。 「やってやろーじゃないのッ!」 「あんた、ちょっと生意気なのよ!」 「隣の席だからって、調子にのるなッ!」 彼女達は突然喚きながら、わたしの身体に突進してきた。 あちらこちらから女の子の腕が伸びてきて、わたしの身体を掴もうと必死だ。 その様子はさながら、突然のタイムサービスで、お値打ち価格になった食品を貪る主婦のようだった。 . 前へ |次へ |
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