《MUMEI》
忍と交渉
(さすがだ)


高遠光は普通なら顔から落ちるところを、条件反射で体を反転させてしっかり受け身を取り


小暮さんは高遠光が寝ぼけているうちに、落とした事実を患部へのキスでごまかした。


「で、心当たりあるの?」

「あ、一応」

「そこ、借りられる?」

「聞いてみます」


俺は携帯を取りに荷物がある台所に行った。


(ここでかけるか)


俺はすぐに忍の携帯にかけた。


《くだらない用事なら切るぞ》


ワンコールで出た忍は忙しそうだった。


弘也の一件以来


忍はどんなに忙しくても、三コール以内に電話に出るようになっていた。


「くだらなくは無いと思うけど…」


そして、俺は去年忍と護と過ごした別荘を使えるかどうか聞いた。


《わかった。貸そう》

「ほ、本当に!?」


忍の返事があっさりしすぎて、逆に俺は不安になった。


《勘違いするなよ。お前に頼まれたからじゃないからな。

お前が見た高遠光のポスターの香水の会社と

今度、高遠光が主演する映画のスポンサーに春日グループがなっているからだ。
高遠光の写真集が売れて知名度が上がれば、こちらにも利益が出る》

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