《MUMEI》 ヒミツの出会い. …………明日も、こんなふうに、みんなから揉みくちゃにされちゃうのかな。 そこまで考えて、ため息をつく。 いや、そんなはず、ないか。 今は、わたしのことを持て囃してくれても、 いつかは、離れていくんだ。 《あの子》、みたいに−−−−。 脳裏に、ひとりの女の子の顔が浮かんだ。 まえの学校で、わたしの親友だった女の子。 仲の良かったその彼女を思い出すと、胸が張り裂けそうになった。 また、ため息をつく。 すると、 「3回目!」 陽気な声が聞こえた。 しかも、 ………オトコの、声。 ビックリしてベンチから立ち上がり、キョロキョロと周りを見回した。 そして、植え込みの向こう側に、人影が、ユラリ…と、揺らめいたのを見た。 わたしは、息をのむ。 そして、その人影に注目した。 手入れの行き届いた、その植え込みの陰から、ゆっくりと現れたのは…………。 「ため息、3回目だよ」 私服姿の、男のひとだった。 . 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |