《MUMEI》
ヒミツの出会い
.


…………明日も、こんなふうに、みんなから揉みくちゃにされちゃうのかな。



そこまで考えて、ため息をつく。



いや、そんなはず、ないか。



今は、わたしのことを持て囃してくれても、



いつかは、離れていくんだ。





《あの子》、みたいに−−−−。





脳裏に、ひとりの女の子の顔が浮かんだ。

まえの学校で、わたしの親友だった女の子。

仲の良かったその彼女を思い出すと、胸が張り裂けそうになった。



また、ため息をつく。



すると、





「3回目!」





陽気な声が聞こえた。



しかも、



………オトコの、声。



ビックリしてベンチから立ち上がり、キョロキョロと周りを見回した。

そして、植え込みの向こう側に、人影が、ユラリ…と、揺らめいたのを見た。



わたしは、息をのむ。

そして、その人影に注目した。



手入れの行き届いた、その植え込みの陰から、ゆっくりと現れたのは…………。



「ため息、3回目だよ」



私服姿の、男のひとだった。



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