《MUMEI》

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突然現れた彼は、思わず見とれてしまうくらい、キレイな顔立ちをしていた。


わたしと歳はそんなに変わらないだろうか。でも、彼が持つ、浮世離れしたその雰囲気は、同世代の男の子とは、どうしても思えなかった。


わたしがしばらく、黙ったまま、呆然としていると、

彼がわたしの目を覗き込んで、つづけた。


「イヤなことでも、あった?」


柔らかな、そよ風みたいな声だった。

尋ねられて、ようやくわたしは我に返り、アタフタと慌て出す。


「いえ!イヤなことっていうか…そのぉ〜」


答えながら、つい目を逸らした。頬が、どんどん熱くなっていくのを感じる。きっと、今のわたしの顔は茹でダコのように真っ赤になっているに違いない。

目の前の男のひとが、わたしのことを見つめているのだ、と思うだけで、なぜか、恥ずかしいような、いたたまれないような、嬉しいような、フクザツな気持ちに駆られた。

彼は、ゆっくりとこちらに近寄りながら、女子校のひと?と、さらに尋ねてくる。わたしは顔を背けたまま、頷き返すので精一杯だった。


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