《MUMEI》
球技大会をサボった理由
俺は今年最後になる球技大会の日に、学校を休んだ。


それは、球技全般が苦手だからという理由ではなく


球技大会当日が


旦那様の命日と重なってしまったからだった。


(『その日は休め』って忍にも言われたし)


俺自身、球技大会に集中できないのはわかっていた。


それなのに


旦那様との思い出に浸ろうとしても


志貴や、他の友人達がどうしているか気になってしまった。


それでも俺がその日サボった事実は残った。


更に


忍がそれを認めたという事実も残った。


俺は、罪悪感を感じながら翌日登校したが


志貴も、皆も


怖いくらい、普通だった。


それはそれでホッとする反面


少し寂しかった。


だから


「球技大会サボったんだから、私のわがまま聞いてよね」


そう志貴に言われた時


一瞬


ほんの一瞬だけ


嬉しいと感じる自分がいた。


しかしまさか


自分の知らないところでこんなイベントが計画されていて


こんな


コスプレが待っているとは思わなかった。


それを俺が知ったのは、十月最後の日曜日


イベント当日だった。

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