《MUMEI》 普通のハロウィン志貴に空けておくよう頼まれた、十月最後の日曜日。 (久しぶりだな) 俺は今、『シューズクラブ』のある商店街に 何故か、秀さんの運転する車で連れてこられた。 『お店はいいんですか?』 俺が心配すると 『脅されたんだ』 秀さんは、苦笑しながら答えた。 (誰に、何を?) 二メートル近い長身で、しかもスキンヘッドの為かなり迫力のある秀さんは 『双子に、部屋に置いてある志穂の花嫁姿の写真を』 心優しいシスコンだった。 そして、秀さんの車には 脅した双子の頼と厳 その恋人の、エイミーと石川が乗っていて 先に出発した希先輩の車には 柊・志貴・拓磨が乗っていた。 拓磨は今日は本当はサッカー部の練習があったが 全員に土下座して、今日、志貴と共に行動していた。 (…かぼちゃだらけ) 到着した駅前の駐車場から、商店街中、目・鼻・口が彫られたかぼちゃを至る所で見つけたうえに パン屋も和菓子屋も、喫茶店も、期間限定かぼちゃメニューを宣伝していた。 そんな、賑やかな商店街は、今日はこれからハロウィンイベントの為に、歩行者天国になるらしい。 前へ |次へ |
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