《MUMEI》 「いいか、今から俺達だけでパス練していると思え。」 俺が倉木さんの所へ駆け寄ると否や、 先輩はとんでもないことを言った。 「ええ!? そんな無茶苦茶な!!」 こんな大きな大会でそんなことは到底考えられない。 「いいから! お前なら出来る!!」 「………やってみます。」 有無を言わせぬ物言いに、 首を縦に振るしか無かった。 「よし、じゃあキーパーがこっちにフリーキックしてきた時が勝負だ。 いいな?」 「了解っす!」 お互い手を合わして離れた。 後半残り5分。 一刻の猶予も許されなかった。 キーパーのフリーキックにより、 倉木さんに渡ったボール。 勝敗を分ける一点は、 倉木さんと俺に託された。 前へ |次へ |
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