《MUMEI》
男子校と危険人物
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わたしは彼女達の顔を見て、あのさ…と、小さな声で呟く。


「さっき、案内してくれたとき、『男子校とは関わりがない』って、言ってたよね?」


巴が忌ま忌ましそうな顔をして男子校の話していたのを思い出した。

巴は、わたしの質問に、首を縦に振る。


「もちろん!授業も、部活も、学校のイベントも別だしね!男子校の奴らと、関わることはないよ」


なぜか誇らしげに言ってのけた。

巴の明るい表情を見ながら、わたしはフクザツな気持ちになる。



校舎だけじゃなく、


授業も、部活も、イベントも、別。



それじゃ、彼に会えないではないか……。



ひとりで落ち込んでいると、巴が、でも、とつづける。


「この学校の中で、『秘密の花園』だけが、女子校と男子校の、唯一の共同スペースなの」



…………『秘密の花園』?


共同スペースって………。



思いがけないその台詞に、わたしは、もしかして、と思った。


「それって、中庭のこと?」


わたしの言葉に、巴は驚いたようだった。


「どうして、知ってるの?」


尋ねられて、わたしは返事に困ったが、正直に答えた。


「さっき、迷っちゃったとき、偶然中庭に着いて…そこで、男のひとに会ったから…」


するとみんな、驚いたように、えぇッ!?と声をあげる。


「オトコがいたの!?」


「大丈夫でした??なにもされてない??」


「うわぁんッ!!お姉様の純潔がぁ〜!!」


なにやら口々に叫び、中には泣き出す子までいた。

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