《MUMEI》
アピールタイムスタート
アピールタイムは三分。


他のグループは、各自が衣装のポイントを説明したり


ポーズを取ったり


音楽に合わせて踊ったりしていた。


そんな中


「これより、『ベクトル愛の暴走劇場』を開幕します」


マイクを受け取った志貴はそう言って


俺と希先輩に目配せをして、ステージの端に移動した。


「え? 何? 何が始まるの!?」


俺と希先輩も何が始まるかわからず首を傾げていたが


ステージ中央にいる柊は、混乱していた。


(まぁ、無理も無いか)


カトラス柊は、ラグナ忍と朱雀厳に、両腕をガッシリ掴まれ


拘束されていた。


そして、そんな柊にジリジリと


ベクトル拓磨が近付く。


(不気味だ…)


あまりの不気味さに、会場が静まりかえっていた。


「「頑張れベッキー!」」


青龍祐介さんと、白虎石川は、空気も読まずに無邪気にベクトル拓磨を応援していた。


ちなみに他の三人


玄武秀さんは銅像のように無表情でジッとしていて


反対に道化師頼は、ニヤニヤしながらステージ上を落ち着きなく動いていて


ティータスエイミーは、現実逃避なのか、読書をしていた。

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