《MUMEI》
会いたい気持ち 会えない寂しさ
.



「…やっと、お昼だぁ〜!!」



午前中の授業が終わると、隣の席の巴が脱力して、ベタリと机に突っ伏した。その様子を見て、わたしは笑う。


「4限、つまらなかったもんね」


今日の4限目の授業は、古典だった。

ついさっきまで、先生がえんえんと古文を読み上げていた。
先生のその独特な低い声と、抑揚のない平坦な読み方は、さながらお坊さんがお経を読んでいるようで、わたしも不意に襲ってくる睡魔と、必死に格闘していた。

わたしの台詞に、巴は、ほんとだよ…と力無く呻く。


「わたし、古典が一番キライ。意味わかんないんだもん」


その言い方が、なんだか可愛くて、わたしは、確かに、と頷き、また笑った。



−−−この学校に転校してきてから、もう1週間が経つ。



最初は、ちゃんとクラスに馴染めるか、不安だったけれど、それも、もう遥か昔の悩みのように感じる。


こうやって、穏やかに笑っていられるのも、すべて、心優しいクラスメイト達のおかげだ。


わたしは、すっかり、このクラスに馴染んでいた。



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