《MUMEI》

.

しばらくグッタリしていた巴が、突然、なにかを思い付いたように、勢いよく身体を起こして言った。


「お腹すいた!!はやく学食行こ!!」


言うなり、彼女はわたしの腕を掴んだ。わたしはまだ、机の上にテキストを広げっぱなしだったので、慌てて彼女を制止する。


「ちょっと、待って!今、用意するから…」


ワタワタとテキストを片付け、かばんから財布を取り出していると、突然、甲高い声が聞こえた。


「ダメよ!今日は、わたしがお姉様とお昼を一緒に過ごすんだからッ!!」


そう叫んだのは、クラスメイトの女の子。

それをかわきりに、他の女の子達までもが騒ぎ出す。


「今日は、A定食を召し上がりますか?それとも、B定食?わたし、先に行って用意しておきます!」


「待ちなさいよ!それは、わたしがやるわ!!お姉様も、その方がいいでしょ?」


「お姉様、今日は学食じゃなくて、教室で食べましょう!お弁当、作ってきました!!」


「あんたの弁当なんて、なに入ってるかわかったモンじゃないわ!お姉様の具合が悪くなったら、どーすんのよ!!」


.

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫