《MUMEI》
追いかけたい背中
.


…………あーぁ、


どうして、『ソウ』さん、来ないのかな?


同じ学校の生徒なのに、


会えないなんて、おかしいよ……。



寂しくなって、『花園』から目を逸らし、ため息をつく。

すぐ傍から、巴達の、はやく行こうよ!と、わたしを急かす声が聞こえた。





◆◆◆◆◆◆





食事を済ませると、わたしは行きと同じようにクラスメイト達に取り囲まれながら、廊下を歩いていた。


「午後の授業が、ダルいんだよね〜。いい感じに満腹で、すっごい眠くなるんだも〜ん」


めんどくさぁい!と、ぼやいたのは、いつものようにわたしの隣をキープしていた、巴。

わたしは、大あくびをしている彼女に、そうだねぇ…と適当に頷いた。

それから、また、『秘密の花園』へと目を向けた。ここまできたら、もう、条件反射だ。


『花園』にはだれもおらず、ひっそりと静まり返っていた。

ここからではよく見えないが、『ソウ』さんの姿は、もちろん、なかった。



…………やっぱり、いるわけない、か。



ため息をつき、巴が気づくまえに、目を逸らそうとしたとき、


『花園』へ向かう、女の子の姿が、視界の端っこにうつった。


わたしは思わず、振り向く。


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