《MUMEI》

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そんなイジワルにも、負けるもんか!と思い、彼女をキッと睨みつける。


「『花園』に、行くんでしょ?」


わたしの言葉に、小田桐さんは少し、目を見張った。図星なのだろうか。

彼女の表情の変化を慎重に観察しながら、わたしはつづける。


「あの日みたいに、『花園』で待ち合わせてるんでしょ?」


小田桐さんは黙っていた。ただ、じっとわたしの目を見つめ返していた。

彼女の沈黙に、イライラして声を荒げる。


「『ソウ』さんが、来てるんでしょう?」


そこまで言うと、小田桐さんは聞こえよがしに大きなため息をついた。

そして、呆れたように呟いた。


「このまえも、言ったわよね?ソウに関わらない方がいいって。忘れちゃったの?」


声が、冷たかった。

少し怯えて、わたしは口をつぐむ。小田桐さんはまた、ため息をついた。


「もう一度、言うわ。ソウとあなたは、『生きる世界』が違うの。あいつと関わったら、あなたはきっと、傷つく」


このまえ言った台詞を、彼女は繰り返した。


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