《MUMEI》 戻って来た時、さっきよりもちょっとだけ──鳥居さんのどんよりオーラが薄くなっている感じがした。 「これ、良かったら」 「──ぁ、ありがとうございます‥」 「無理して飲まなくていいからね?」 那加が言うと。 コクッ、と頷いて、鳥居さんは紙パックを両手に包み込んだ。 「はー‥」 小さな溜め息が、聞こえた。 「いきなり過ぎたのかなぁ‥」 「あたしはそうは思わないけど」 「那加ちゃん‥?」 「あいつが鈍いのよ」 「ぇぇっ‥」 前へ |次へ |
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