《MUMEI》

途端に安心して、俺は壁に凭れた。





「ふぅ‥」

「まだ安心するのは早いんじゃないの?」

「‥!?」





‥何でそんなに近いんだ‥?





ぁぁ、そうか‥鳥居さんに聞こえるとまずいから‥。





でも‥近過ぎないか‥?





「──どうしたんですか?」

「ぅわあッ‥な‥何でもないデスッ」





駄目だな、俺‥。





‥慌てているのがバレバレだ。





「大丈夫ですか?」

「──ぁ‥ぁぁ‥」

「大丈夫大丈夫♪」

「──ほんとに──」

「だ〜いじょ〜ぶ♪ 日向あたしの前だといつもこうだから気にしないで」

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