《MUMEI》

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彼女は苛立たしげに、ため息をついた。


「わたしだけじゃないんだ。みんなも寧々のこと、きらいなんだって。でも、寧々には、わたし達の気持ちが、わかるわけないよね。寧々とわたし達は、『生きる世界』が違うもの」


ひとりで言って、感じ悪く笑った。


「『世界』が違うんだから、お互いの気持ちなんて、わかりっこない。これからも、ずっと、それは変わらないよ、きっと。そうやってみんなとの壁を感じて、ひとりぼっちでいつまでも苦しめばいい」


親友がそう言い捨てると、廊下の方から、女の子達の笑い声が、さざ波のように押し寄せてきた。

そこで初めて、教室の外から女の子達が、この一部始終を傍観していたのだ、と気がついた。

親友も、その複数の声と同じように不気味に笑いながら、教室から出て行ってしまった。


教室から、彼女達の笑い声と足音が遠ざかっていく。



オレンジ色の光が差し込む教室の中で、わたしはいつまでも、ひとりぼっちで立ち尽くしていた…………。



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