《MUMEI》
1.放つ矢の行方を
 放たれた矢の行方を

 ただひたすらに追いかけてみると

 そこに 君 がいた


*


 はっとして辺りを見回すと、そこにはいつもと変わらぬ景色があった。白い壁、白い床。広い空間の中心には、大きな木製の丸いテーブル。周りにたくさんの椅子が並べられている。雑貨屋さんも飼育係りさんも、いつものようにあいさつをしてくる。
「おはようございます」
「おはよう」
 なんだ。私は眠っていただけなんだ。さっきのは夢ってこと。夢よ夢。
 ぱんっと両手で頬を軽く叩いて眠気を飛ばし、愛用している弓矢を手にとる。今日も頑張りますか!と気分を盛り上げ、ギルドホールを出ようとした時、チリ、と目の縁が熱くなった気がした。が、さほど気にならなかったので、そのまま転送を開始した。

*

「さて、」
 今日はなにをしようか。
 オアシス都市アリアン。ここでは沢山の人が露店を開いたり、秘密ダンジョンの募集などが行われている。露店巡りをするのが日課になってしまっているほど、たくさんの品物があるのだ。

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