《MUMEI》

「はぁっ‥、ぁぁ‥走って来た‥」

「ふふっ──そんなに急がなくてもいいのに」





あんまり俺が息を切らしているもんだから、那加が苦笑している。





「急げなんて全然言ってないのにね〜」

「ぁぁ‥‥‥そうだけど‥」





無意識に、急ぐ癖がついてしまったらしい。





「──ま、早いに越した事はないわよね」

「──ぁ‥那加」

「何?」

「えっと‥もうすぐ終わりだろ‥? 夏休み──」

「うん。それで?」

「何か──その、あれば‥今の内に──」

「ないけど? 別に」

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