《MUMEI》 . わたしは義仲の肩を掴んだ。 「オンナって、つまり…」 わたしが言いかけたのを、義仲が遮る。 「愛人ってこと」 平然と答えた彼に、わたしは呆然とする。 …………愛人?? そんなの、ドラマの世界のことだと思ってた………。 わたしが黙っていると、義仲は振り返り、フッと笑う。 「引いた?」 わたしはカッと目を見開く。 「引いたよ、引くっしょ!ドン引きだよ!!なにそれ、最低!!」 わたしがまくし立てたのを、彼は、だよなー、とおかしそうに笑った。 「みんな、そう言う〜。フツーじゃねーって。家も、特殊だしさ」 わたしは、そこで義仲の家が極道であることを思い出す。 . 前へ |次へ |
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