《MUMEI》 . 破天荒で、無茶苦茶で、喧嘩っぱやくて、手に負えない、どうしよーもないヤツだけれど、 もしかしたら、それは、 彼が抱える『寂しさ』の、裏返しなのではないか。 彼の背中を見つめながら、なんだか、憐れに思えてきて、 でも、素直じゃないわたしは、可愛いげなく、笑い飛ばした。 「『最低』って、あんた、ヒトのこと言えないじゃん!」 重くなった空気を払拭したかった。 わたしがそう言って高笑いしていると、義仲も笑い、確かに〜とふざけるように言った。 自転車は、ゆっくり、とてもゆっくり、夕焼けの中を、進んで行った。 . 前へ |次へ |
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