《MUMEI》
高級住宅地のナゾ
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しばらく自転車を走らせると、見知らぬ住宅地へ入った。

義仲の身体にしがみつきながら、わたしは左右を見回す。


……どこを見ても立派な家が建っている。どうやら、いわゆる高級住宅地のようだ。


わたしは不安になり、ねぇ…と義仲に呼びかける。


「わたしの家、こんな立派なトコにないけど」


すると、義仲は肩越しにわたしの顔を見て笑う。


「知ってる、璃子ちゃん家は隣町だろ?」


「じゃあ、なんでこんな所に連れてくんのよ」


すかさず切り返すと、義仲はまた正面を向き直って、平然と答えた。


「いくら俺でも、隣町までチャリで送れないし。ウチの車、出してもらう」


わたしは固まった。


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