《MUMEI》 車の中. −−−車内は、怖いくらいひっそりと、静まり返っていた。 後部座席に座っているわたしは、顔を俯かせたまま、目だけを動かし隣を見る。 わたしの隣には、義仲が、足をまえに投げ出してだらしなく腰掛けていた。 彼は黙って窓の外を眺めている。 まるで、なにかを、考え込むように。 …………なんで、黙り込んでんのよ。 つーか、ちょっとは気をきかせて、 楽しい話するとか、しなさいよ! 心の中で毒づいてみたが、ムダだった。義仲はわたしの視線に気づくことは、なかった。 わたしは諦めて、彼を見るのをやめ、深々とため息をついた。 それが聞こえたのか、運転していたいかついオトコがバックミラー越しに、チラリとわたしを見た気がした。 . 前へ |次へ |
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