《MUMEI》 . …………ヒッ!! その鋭い視線に怯えて、悲鳴を飲み込んだとき、ようやく義仲はわたしの方を見た。 彼は不思議そうに首を傾げる。 「どうした?」 呑気に尋ねてくる義仲に、わたしは引き攣った笑顔を浮かべながら、なんでもない!と早口で答えた。 「しゃっくり…そう!しゃっくりが出たの!!それだけッ!!」 慌ててごまかす。 運転手の目に怯えた、と正直に答えて、オトコの機嫌を損ねたら、殺されかねない。 青ざめた顔で、アハハ☆と笑うと、義仲は眉をひそめながら、ヘンなヤツ…と呟いた。 …………あんたに言われたくないッ!! と、いうのは、心の中だけで叫んでおいた。 . 前へ |次へ |
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