《MUMEI》

.




…………ヒッ!!





その鋭い視線に怯えて、悲鳴を飲み込んだとき、ようやく義仲はわたしの方を見た。

彼は不思議そうに首を傾げる。


「どうした?」


呑気に尋ねてくる義仲に、わたしは引き攣った笑顔を浮かべながら、なんでもない!と早口で答えた。


「しゃっくり…そう!しゃっくりが出たの!!それだけッ!!」


慌ててごまかす。

運転手の目に怯えた、と正直に答えて、オトコの機嫌を損ねたら、殺されかねない。

青ざめた顔で、アハハ☆と笑うと、義仲は眉をひそめながら、ヘンなヤツ…と呟いた。





…………あんたに言われたくないッ!!





と、いうのは、心の中だけで叫んでおいた。



.

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫