《MUMEI》
小さな守護神
一際大きな扱いを受けていたのは、GK(ゴールキーパー)のサントスで


今までの試合全て無失点でおさえた彼には


『小さな守護神』


の異名がついていた。


(すごいな)


記事は、サントスの身体能力を高く評価し


『県下ナンバーワン』

『全国にも通用する』


と、大絶賛していた。


(これなら、勝てるんじゃないか?)


そう思いながら、次のページに目をうつすと


そこには、対戦相手の特集があった。


公立の吾妻高校とは違い、私立のその高校は、優秀な選手を全国各地からスカウトしていた。


特長は、とにかく攻撃的なチームで、チームプレイよりも個人プレイが多い事


その為、一人でドリブルで三人抜き、そのままゴールしたり


決まると思えば、遠くからでも遠慮なくシュートを打ってくる。


(GK以外は、皆その可能性があるのか…)


記事を読みながら、決勝はどうなるか、想像していると


トントン


カウンターを叩く音がした。


(仕事、仕事)


俺は新聞を片付け、貸し出し用のカウンターに向かった。

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