《MUMEI》

「その方が──あたしは楽しいけどね」





本当に楽しそうに、那加が言った。





「──日向? 戻んない?」


「ぁ、ぁぁ‥戻るか」

「うんっ。あたしお腹空いちゃった」

「ぇ、もう空いたのか?」

「空いたに決まってるじゃない」

「──じゃあ──早く戻らないとな」





ベンチから立ち上がると、那加が先に立って歩き出した。





「ぉ‥おいっ、那加──待っ‥」





──ぁ──夕陽が綺麗だ。





「日向ぁ! 置いてかれたいのー?」

「──ぇ‥ちょっ、姫サマぁ!」

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