《MUMEI》 久しぶりの緑川「「緑川」」 突然の声の主 同級生の緑川は、笑顔だった。 「こうやって話すの久しぶりね、田中君」 「そうだな」 確かに、同じ教室にいても、俺はあまり緑川と話す機会は無かった。 それは、俺が志貴も含めた一年から仲がいいメンバーと一緒にいるせいもあるが 園芸部の緑川が、花壇の世話で教室にいない事が多いせいもあった。 「ところで、さっきのどういう意味だ?」 「ふごっ!」 「そのままですよ」 緑川は笑顔で 鏡月の口を塞いでいた。 「私が部長に田中君がここにいるって教えてあげたんです」 「ふごっ、ふごっ!」 「何で?」 「最近田中君に会えなくて寂しそうでしたから」 「ふんごー!」 「寂しそうかは知らないが…死にそうだぞ」 鏡月の眼鏡はずれ、眼鏡の奥の瞳は涙ぐんでいた。 「静かにできます?」 「ん゛」 鏡月は頷いた。 そして、やっと緑川は手を離した。 「意外と力強いんだな」 「園芸部は肉体労働ですから」 「鏡月もだろ」 「部長は、頭使う仕事割と多いですから」 緑川は、ずっと笑顔だった。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |