《MUMEI》

-







徐々に




見えかけ、繋がりかける










記憶の断片







繋がりそうにカケラが触れ合って




弾かれたように

遠ざかる





ジンは
まだ自分の手を引いて走り続けるリツの背中を見た




「なあ、リ…あだッ!!」

急に立ち止まったリツに激突して

ジンは危うく倒れこみそうに、よろけた。


そして一番強くぶつけたらしい左肩を擦りながら愚痴をこぼし

「止まるなら止まるって…」


リツの腕が
後ろにいるジンを庇うように、横に伸ばされたのを見て
言葉を切った。

「動いて…みるもんだろ?」

と、リツが肩越しにジンを見た。


そうして再び正面に顔を向ける

ジンも視線をそこに移す







二人の視線の先





艶やかでどこまでも真っ直ぐな銀の髪を

背中の中央辺りまで、のばし


清水のように体を包む美しい衣をまとって





二人に背中を向ける





スラリとした







人間、ひとり

前へ |次へ

作品目次へ
ケータイ小説検索へ
新規作家登録へ
便利サイト検索へ

携帯小説の
(C)無銘文庫