《MUMEI》 特訓の手伝い俺は確かに真司に頼まれて、日曜日、直接応援には行かない事にした。 それは、拓磨の ひいては、サッカー部の、為だった。 (なのに何で…) 放課後、志貴はバイトに行ったのに。 緑川も、いつも通り部活に行ったのに。 俺も、普通にアパートに帰ったのに。 「あのー…拓磨、思いきり睨んでるんですけど」 何故か、俺は今、特別コーチの屋代さんに連れられて 再び、吾妻高校の門をくぐり サッカー部が練習する、グラウンドの端にいた。 「大丈夫、部長の許可は得てるから。と言うか、田中君いないと困るんだよね」 「は?」 わけがわからず、俺はただ練習を見ていた。 (あれ?) そして、気付いた。 サントスが、いない事に。 「お待たせ!連れてきたよ!」 (あぁ、それでか) 数分後、サントスが連れてきた集団を見て、俺は自分が呼ばれた意味を理解した。 〔じゃあ、皆準備して〕 そう、ポルトガル語で言ったのは、サントスの父・カルロスで サッカー用の靴に履き替えている大人達は 全員日系ブラジル人だった。 前へ |次へ |
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