《MUMEI》
-
「アンタが…フルアか?」
リツがその背中を警戒するように睨む
「リツ。」
ジンはそんなリツの横に進み出て、
目で彼を咎めた。
そして再び
自分達に背中を向けたままの
華奢な人間を見た
[……罪…]
「…?」
‘音’としてでは無く、
その背中から
脳に直接伝わってくる、"声"
そして、その人物が振り向く
紫水晶の両瞳が
不思議な輝きを宿しているのを見て
ジンは黒と紫水晶の目を
見開いた
…リツは気付かなかったが。
振り向いた人間
その外見は
凛とした、
美しく、若い女性。
いや、中性的美しさだ
まさに絶世、というのが相応しいであろう
美しさ
普通の人間なら
その容姿に魅せられ、我を失いかねない
唇を動かさず、端麗なその者は
言葉を紡ぐ。
[六千五百年前の罪は、人間から翼を…奪った]
驚いたように二人はたたずんでいた。
[よく来てくれたね。
--ジン・W・Ruhielear、
--翡翠 龍翼。]
「…アンタ、が?」
リツは、
またもその人物を睨む
[そう]
それは
優雅に微笑んだ
[私が、フルアだ]
前へ
|次へ
作品目次へ
ケータイ小説検索へ
新規作家登録へ
便利サイト検索へ
携帯小説の
(C)無銘文庫